ナノ工学研究センター

本センターでは、工学系研究科を支える共通基盤技術(資産の有効活用、効率の向上)を軸とした研究展開を行う。専攻単独では維持管理が困難な共通大型装置、特殊装置、高機能装置などの資産の有効活用と維持管理を行い、専攻(専門分野)間の技術交流・連携を通じて効率的な共同研究を展開する。本研究機構の設備として、超高圧電子顕微鏡、電子顕微鏡群、X線分析装置、レーザーアライアンス、武田先端知ビル工学系クリーンルームなどを有しており、これらを基盤として工学系研究科への支援、共同研究、装置維持管理などを行う。また、本センターには、日本電子やリガクとの共同研究をベースとした東大・日本電子産学連携室および東大・リガク産学連携室を設置し、これらをもとにした研究支援を行っているほか、文部科学省より超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点に選定されており、これらの施設をフルに活用した研究支援活動を展開している。さらには、ナノプロセス工学社会連携講座(ディスコ)が設置されており、次世代ウエハ積層技術に関する研究プロジェクトを実施している。

超高圧電子顕微鏡室

ナノ工学研究センター 幾原 雄一

超高圧電子顕微鏡室では、世界最高レベルの分解能を維持し続けている超高圧電子顕微鏡と、元素分析・電子状態分析装置を備えた400kV補助電子顕微鏡を両輪として、学内の約30研究室の利用及び学外からの共同研究を受け入れ活動を行ってきた。超高圧電子顕微鏡を使った研究活動では、その超高分解能を利用した研究の他に、構造像に試料の投影ポテンシャルがそのまま反映するという特徴を生かした研究も進められている。従来は不可能であった軽元素の観察、ポテンシャルの差を利用した超高分解能元素マッピングなどの手法が開発されてきており、今後セラミックスや半導体の研究に必要不可欠になると期待される。補助電子顕微鏡については、粒界、界面の断面観察、分析等を軸に、試料ホルダーの開発等によりその場観察実験の研究も始められた。特に原子レベルのその場観察実験により亀裂経路、組織の変形過程などを直視する研究が進展している。

HRTEM image of interface between polycrystalline aluminum alloy and single crystalline sapphire substrate. Formation of secondary phase which has an epitaxial relationship to the substrate is observed at the interface.

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電子顕微鏡室

ナノ工学研究センター 幾原 雄一

ナノ工学研究センターの電子顕微鏡室では、透過電子顕微鏡4台・走査電子顕微鏡4台・試料作製装置(IS・CP・PIPS・JFIB-2100・ダイアラップ・ディンプルグラインダー等)が稼働している。高性能透過電子顕微鏡は、高分解能観察と同時に局所元素分析(GIF・EDS)が可能で、原子構造解析・電子構造解析が行え、観察研究の発展が約束できる装置である。汎用電子顕微鏡は、初心者教育から高分解能解析まで行え、広範な研究者のニーズに応えている装置である。試料作製装置は、工学系研究科のみならず他学系研究科、先端研や生研などの金属・セラミックス・有機物など幅広い研究分野の支援を目的に今後とも施設の充実を図っていく予定である。昨年度は、工学系研究科を中心に約85研究室の利用を受け入れ、試料作製から顕微鏡観察・解析までの研究支援活動を行って多くの成果をあげてきた。また、60名以上の初心者講習会を行い、電子顕微鏡を研究手段とする研究者の育成にも力をいれてきた。ナノ工学センターを理工学の研究に役立つコラボレーションプラットホームとして構築していく予定である。

High resolution TEM image of Σ = 9, [110] / {221} symmetrical tilt grain boundary in SrTiO3. Two kinds of secondary structures, in which both step structures consist of (111) and (001) planes, were observed.

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X線実験室

沖津康平   府川和弘

本プロジェクトは、東京大学工学系研究科総合研究機構ナノ工学研究センターの一翼を担い、X線を用いた汎用計測装置を広くユーザーに提供するとともに、放射光実験を支援し、X線を用いた最先端研究に大きく寄与している。多様なユーザーによる利用研究のほか、X線光学素子(X線移相子)システムの開発、X線回折理論の導出と理論計算、X線回折実験用のソフトウェアなど、実験室スタッフによって、幅広い研究活動が行われている。
2011年(平成23年)には、低炭素プロジェクトの一環として、InPlaneXRD装置、走査型X線光電子分光装置、無機微小結晶構造解析装置、有機高分子結晶構造解析装置、超精密薄膜分析装置など、最先端のX線装置が多数導入され、大幅な設備拡充が行われた。

回転型四象限移相子システム、(a)模式図と(b)写真。

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武田先端知ビルスーパークリーンルーム

ナノ工学研究センター 大矢 忍

武田先端知ビルスーパークリーンルームは、工学部と大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)の共同運営により、本学におけるナノ・マイクロ加工の拠点として活発に利用されている。また、産学連携の拠点としても積 極的に活動している。さらに、2007年より文部科学省「ナノテクノロジー・ネットワーク」の拠点として、学外利用者の利用も積極的に受け付けている。ここでは、クリーンルームの概要と、現在の利用状況について紹介する。

クリーンルーム各セクションの面積とクリーン度
クリーンルーム平面図
クリーンルームで進行中のプロジェクト
深堀りICP エッチング装置(アルカテル)
クリーンルーム1(クラス1) 内部と電子線描画装置F5112

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電子のスピン自由度を生かした新しいデバイスの創製

ナノ工学研究センター 大矢 忍

従来のエレクトロニクスでは、主に電子の「電荷」自由度が利用されており、電子がもつもうひとつの自由度である「スピン」はほとんど利用されてこなかった。我々は、磁性原子をドーピングした半導体材料を中心として、様々な新しい材料の高品質結晶の作製を原子レベルから試みており、さらにそれらの材料系で見られる電子のスピン自由度に起因した様々な物理現象を探究している。スピンを用いた次世代の新しいエレクトロニクスである「スピントロニクス」を利用したデバイスの実現が目標である。研究には図に示す分子線エピタキシー装置を用いている。本装置においては10-8~10-9 Paの超高真空下において、原子を昇華または蒸発させることにより、極めて高品質な単結晶薄膜を得ることが可能である。さらに、原子レベルで制御された人工的な多層膜構造(ヘテロ構造)やナノ構造を作製することが可能である。様々な原子を用いて、従来作製されてこなかった新材料を開拓し、新しいナノ構造を作製することにより、将来のスピントロニクスデバイスの実現につながる新機能の実現を目指している。

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